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幽霊西へ行く(日语原文)-第29章

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 広い客間の方々に、私たちは腰《こし》をおろし、ノイラ燃紟煠涡搐烦訾埂⑹撺辘位妞蛞姢膜幛俊
 思ったより、芸術的なフィルムだった。
 飛行機からでも撮影《さつえい》したのだろう。茫洋《ぼうよう》たる青海原《あおうなばら》、眼下に停止しているような汽船、進むのか退くのかわからぬ幾《いく》つかの漁船をとびこえて、キャメラは一つの島を大きく画面に写し出した。
「クレタ島……」
 キャメラはやがて地上に移った。クノッソス?ファイストス、マリアの宮殿《きゆうでん》、ハギア?トリアダの離宮《りきゆう》、有名なラビリンスなど.三千年以前の王者の栄華《えいが》の夢《ゆめ》の跡《あと》を、キャメラは快適なリズムとともに追うのだった。
 その王宮の一室に、崩《くず》れかかった円柱のかげに、一人の白衣の婦人が立っていた。古代ギリシャ人独特の、ゆるやかな寛衣《かんい》をつけたその姿は、この世のものとも思われぬほど美しかった。
「アンゼリカ!」
 誰《だれ》かが叫《さけ》んだ。まことに気高く、憂《うれ》いも知らぬ娘《むすめ》のころのその姿は、女神のように美しかった。
 白いヘルメットをかぶった、故人フランク?カルバ趣巫摔猡浃啤⒒妞沃肖摔ⅳ椁铯欷评搐俊4蔚诖蔚冥衰靴抓毳工吻稹钉贰ⅳ饯长颏幛挨氚k掘《はつくつ》の状況《じようきよう》、そして数多い出土品が画面に描《えが》き出されて行ったが、何よりも私の印象に残ったのは、その間に点綴《てんてつ》されて行く、アンゼリカの彫刻《ちようこく》的な美貌《びぼう》と、端正《たんせい》な容姿だった。
 甲板《かんぱん》の上に立ち、波の彼方《かなた》を見つめるアンゼリカの半身から、キャメラが横にまわって、多島海の碧波《へきは》、その彼方にかすむクレタの島、船の後を、尾《お》をひいて追う白い水泡《みなわ》――そこでこの記録映画は終わっていた。
 電燈《でんとう》がついて明るくなると、私はヴァンスの横顔を見つめた。この映画から、彼は何を発見したというのだ。この二つの殺人事件と関係のある何を読みとったというのだ。
 彼の眼は、するどい光に輝《かがや》いていた。
「皆《みな》さん、カクテルでもめし上がる――?」
 立って行こうとした、アンゼリカを、彼はひきとめた。
「奥《おく》さん、ちょっとお待ちなさい。大変結構な、芸術的な香《かお》りの高い映画でしたが、ノイラ趣丹蟆ⅳ长欷先烤鳏盲郡猡韦筏椤
「撮影《さつえい》も、編集も私がしました。私はあの旅行には、最初から最後までつききりでしたから」
「失礼だが、このフィルムは君が完成した時と同じ状態だった――? どこか、君が知らない中にカットされたような場面はなかったかしら」
「ありません。この映画は私の子供のようなものです。子供のちょっとした体の異常でも母親にはよくわかるものです」
「そうだろうね」
 ヴァンスは二、三度うなずいて、今度はマックスウェルの方にむかっていった。
「先生、あなたはパプルスの呪《のろ》いということを信用なさいますか」
「信用しないこともないね。ヴァンス君、この天地の間には様々な異変があって、御身《おんみ》の所謂《いわゆる》哲学や科学の夢想《むそう》だに出来ないことが多いのだ」
「先生が個人として、シェイクスピアを愛読されようが、心霊学《しんれいがく》に興味をお持ちになろうが、この国の法律では、誰《だれ》も干渉《かんしよう》は出来ませんが、しかしそういう信念を、ご自分の職業に適用されたとしたら、それは一種の犯罪ですな。パプルスの呪いの一端《いつたん》は解明されました。キクロペス氏がなくなられたのは青酸中毒、故フランク?カルバ仁悉嗡酪颏狻ⅳ饯Δ扦悉胜い人激铯欷牍潳ⅳ毪韦扦埂
「君!」
 マックスウェルはいきりたった。
「たしかな証拠《しようこ》があって、それをいわれるのか。それは神拢胜肼殬Iに対する侮辱《ぶじよく》ですぞ。死者の霊《れい》に対する冒涜《ぼうとく》だけではなく、私に対しても名誉毀損《めいよきそん》が成立する」
「僕《ぼく》はただ事実をありのまま申しあげているだけです。百合《ゆり》の匂《にお》いで、青酸の臭気《しゆうき》は消された……先生がお分かりにならなかったとしても、まあ無理もないことでしょうね」
「ヴァンスさん。でも、あの部屋《へや》には、鍵《かぎ》がかかっていましたわ。それでどうしても開かなかったし、わたくしたち、扉《とびら》をこわして入ったんですもの。それでどうして、フランクが殺されたとおっしゃるの……どうしてですの」
「僕はそのわけを知ってるんです」
「うかがいましょう。そのわけを!」
「僕はこれでも、ちょっとした美術|蒐集《しゆうしゆう》家《か》だと世間から認められているんで、時々そういう話を持ちこんで来る人間があります。公式ル趣椁钨Iい入れなら、ここにいるヴァン君にたのんでいますが、非公式な――はっきりいうと、出所の疑わしいような品物は、仕方がないので、直接その交渉《こうしよう》にあたることにしていますが、つい最近、古代クレタ島の黄金の首飾《くびかざ》りを買わないかと話を持ちこんで来た女があったんです」
 ヴァンスは、驚《おどろ》くべき物語を口にしはじめた。私さえ知っておらない秘密だった。
「値段はわずか三万ドル、ほかにその女の手数料が五千ドル――至極格安の金額だった。その女の名前はここではいえないが、まずその品物の真偽《しんぎ》の見分けでは、絶対に間摺钉蓼沥筏い韦胜づ胜螭馈W《ぼく》は一応、現品を下見した上で、小切手を持って相手の指定の場所へ出かけた。西|波止場《はとば》A五六偅龓欷吻啊⑹娜栅尉艜rちょっと過ぎに――」
「ああ」
 マ啶搿钉Δ帷筏い俊
「相手は、河岸《かし》の縁《ふち》に立っていた。あたりには人影《ひとかげ》もなかった。僕が近づいて行こうとしたとき、彼は煙草《たばこ》を口にくわえて、マッチで火をつけるところだった。かすかな焔《ほのお》が、おびえたようなその顔を、青白く照らし出したかと思うと、彼は一声、パプルスと叫《さけ》んで、河の中へ転がり落ちた。暗いハドソン河の波の上……僕がかけつけた時にはもう、男の姿は見えなかった……」
「ああ!」
 ふたたび、マ啶窑毪い俊
「君はなぜ、そのことを僕に今までだまっていた――?」
「この男の死因が心臓|麻痺《まひ》だとしたら、何も地方検事|殿《どの》に今更《いまさら》出馬を願うことはない。でも、四方が見通し、しかもその手のとどくところには、誰《だれ》一人いない場所で死んだ男が他殺なら、水へ落ちるまでに死に切っていたというのなら、これはカルバ仁悉嗡坤螭罆rの事情とふしぎなまでに一致《いつち》する」
 誰も身動き一つしなかった。私は奇妙《きみよう》な悪感に襲《おそ》われた。三千年前のクレタの女性、パプルス王妃《おうひ》の霊魂《れいこん》が音もなく、この宏壮《こうそう》な館《やかた》の中をさまよっているような幻《まぼろし》が、たえず眼の前にちらつくのだった。
「僕《ぼく》は現場から、一つの品物を持って帰った。どこにもありふれた品物だが……」
 突然《とつぜん》、ヴァンスはアンゼリカの方にむかってたずねた。
「奥《おく》さん、失礼ですが、キクロペス氏は、手癖《てぐせ》がわるくなかったですか。つまらない、これはと思う品物を、ちょいちょい、お宅から持って帰るくせはありませんでしたか」
「ええ、つまらないものを、灰皿《はいざら》だとか、スプ螭坤趣ⅳ饯螭胜猡韦颉
 アンゼリカはうなずいた。
「それなんだ。そのくせが彼を最後に破滅《はめつ》させた。彼は黄金の首飾《くびかざ》りといっしょに、何気なくパプルスの呪符《じゆふ》を持って帰った。いずれは自分に死をもたらす、危険な品物とも知らずに……」
 私は喉《のど》がかわいていた。ヴァンスの圧迫《あつぱく》するような、それでじらすような態度には、もうがまん出来なくなっていた。しかも、ヴァンスはここで話を止《や》めて、レジ嘶黏颏膜堡俊
 ヘンリⅴ荪饱氓趣椤ⅴ榨%辚氓祝骏猊辚工蜗洹钉悉场筏颉ⅳ窑訾筏俊%譬‘ブルの上のマッチをとりあげ、火をつけようとした。
 突然《とつぜん》、ヴァンスの横なぐりが、彼の左睿А钉郅筏吮k《ばくはつ》した。煙草《たばこ》は一瞬《いつしゆん》、彼の口からはなれて飛んだ。
「何をする!」
 ヘンリ项'をおさえて立ち上がった。
「パプルス!」
 ヴァンスの顔にも、恐怖《きようふ》の色が満ちていた。
「これだ。パプルスの呪符《じゆふ》というのは――本当のところはパプルスではない。パ抓搿ⅳ膜蓼曜稀钉啶椁丹筏趣いρ匀~をきき摺钉沥筏à郡韦坤
「紫――?」
「そうだ。マッチの紫色の焔《ほのお》――それが二人の人間の生命をうばう凶器《きようき》だった。軸木《じくぎ》に塗《ぬ》った薬品の中に、摚Оkして猛毒《もうどく》シアンガスを発生する青化水銀のような薬品がまぜてあったのだ。ヒ壕ⅳ长文肖虼丁钉郡い邸筏筏郡蓼ā
 ヴァンスは鋭《するど》く一人の男の胸元を指さした。写真技師ノイラ趣稀⑶喟驻ゎ啢颉⒁粚忧啶钉幛丹护啤ⅳ窑膜毪瑜Δ势Δい蚋 钉Δ筏伽皮い俊

    5

「君はあの映画を見てどう思った――? 気がついたか、どうか知れないけれど、僕《ぼく》にはあの映画全体に、恋《こい》を失った男の悲しさが終始ただよっていたような気がした。かくせぬものだ。遺跡《いせき》や、古美術のカットとなると、妙《みよう》に平板な、常套《じようとう》手段しか使えぬ彼が、一旦《いつたん》アンゼリカのあらわれる場面となると、ふしぎなほどの腕《うで》を見せる。何かの感情が心にうごいていなければ、説明出来ることではなかった」
 ヴァンスの言葉には、私もうなずかざるを得なかった。
「心にひそめた恋情《れんじよう》が、いつか爆発《ばくはつ》する時が来たとしても決してふしぎはないね。
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